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物流コラム

中国輸出規制の近年のレアメタル・レアアース関連品目リスト:企業が知るべきリスクと対策

近年は中国の半導体などに使われる原材料などの事実上の輸出規制が続いていますが、世界的な影響が大きいものとなっています。そうした中、企業はどのような対応策を講じることができるのでしょうか。

今回は、中国輸出規制の近年の動向から中国で輸出規制がされたレアメタル・レアアース関連の主要品目リスト、日本企業のリスクへの対応策についてご紹介します。

中国輸出規制とは?近年の動向を解説

中国輸出規制の最新の動向をご紹介します。

中国輸出規制とは?

中国が実施している輸出規制とは、中国から他国への貨物や技術の輸出を規制することを指します。

中国では対外貿易法や輸出管理法などにより輸出管理および規制を行っています。

対外貿易法は、1994年に制定された中国の商品やサービス、技術の輸出入を管理する法律です。また貨物輸出入管理条例や中国の輸出禁止・制限技術目録などにより、輸出禁止品目や輸出管理品目が定められています。

輸出禁止製品には、虎の骨やサイの角、漢方薬などに含まれる生薬の麻黄、天然牛黄などがあり、技術については、牧畜業や漁業などの分野において、一部技術の輸出が禁止されています。

輸出管理法は、2020年に施行された法律で、安全保障貿易管理の観点から、両用品目や軍用品、核などの輸出を包括的・全体的な管理を規制強化するものです。

中国は過去から輸出規制を行ってきましたが、2020年の輸出管理法の施行をはじめ、近年は特に強化しています。

近年の動向

2023年から2024年、2025年と相次いで半導体などの原材料である希少金属(レアメタル)や希少土類(レアアース)などの事実上の輸出規制を強化し続けています。

2024年6月には「レアアース管理条例」が発表され、2024年10月1日より施行されました。これはレアアースの輸出入を含めた管理について明確に定められたものです。

中国はレアメタルやレアアースの埋蔵量・生産量で世界的に高いシェアを占めており、多くの国が中国からの供給に依存しています。中国は、レアメタルやレアアースを、米中関係の調整をはじめとした国際的な経済カードとして利用しています。

中国で輸出規制がされたレアメタル・レアアース関連の主要品目リスト

中国輸出規制のレアアース関連の主要品目リストをご紹介します(2025年9月初旬時点)。

輸出管理法などに基づき輸出規制がされたレアアース関連品目

2020年12月に輸出管理法が施行されてから、さまざまな輸出規制が強化されています。主な規制を取り上げます。

・2023年8月 ガリウム、ゲルマニウムというレアメタルの輸出管理強化
【輸出規制リスト】
・ガリウム
・ゲルマニウム

ガリウムは、半導体の材料として知られ、その他蛍光体や充電器などにも欠かせないレアメタルです。ゲルマニウムも同様に半導体の材料として使われていますが、その特性から光ファイバーや光学レンズ、赤外線透過材などの光学部品としての利用が進んでいます。

・2024年10月 レアアース管理条例施行

・2024年12月 ガリウム、ゲルマニウム、アンチモンなどの一部のレアメタルについて対米輸出を原則禁止し、黒鉛(グラファイト)の対米輸出の審査を厳格化

・2025年2月 タングステン、モリブデンなどの5種類のレアメタル関連の輸出管理強化
【輸出規制リスト】
・タングステン
・テルル
・ビスマス
・モリブデン
・インジウム
の関連品目

中でも、タングステンは軍事製品やドリル、切削工具などに使われるレアメタルで、金属の特性として戦車や徹甲弾といった軍事製品に適しているといわれます。またモリブデンは半導体の基盤や自動車備品、航空機、高速道路・高層ビル群などの幅広い用途があります。

・2025年4月 7種類のレアアース関連の輸出管理強化
【輸出規制リスト】
・サマリウム
・ガドリニウム
・テルビウム
・ジスプロシウム
・ルテチウム
・スカンジウム
・イットリウム
の関連品目

サマリウムはコバルトと共に小型ヘッドフォンやマイクなどに使われます。ガドリニウムは、医療分野におけるMRIの造影剤として使用されているほか、光磁気ディスク、蛍光体、レーザーの添加物などに使われています。

このようにレアメタルやレアアースは私たちの周りにあるあらゆる製品や設備に使われており、ハイテク産業には欠かせない存在となっています。

日本企業のリスクへの対応策

中国のレアメタルとレアアースの輸出規制は、国際市場に大きな影響を及ぼしています。実際に供給不足による需要ひっ迫や輸入業者による在庫確保などを背景に価格が急騰しています。またレアメタルやレアアースに関する技術開発に取り組むケースや、半導体の製造などを実施するケースでは、それらが停滞するリスクがあります。

その影響は日本にも及んでいます。中国からの原材料の輸入に頼っていた日本企業は、リスクへ対応するために、次のような方法を検討する必要がありそうです。

サプライチェーンの再編・見直し

レアメタルなどの調達を中国に依存しているサプライチェーンがある場合、グローバルレベルで中国に依存する物資を洗い出して見直す機会といえます。

ビジネスモデルの再構築の検討

今後も輸出規制が進めば、より厳しい状況になっていくと予想されます。長期的な影響を考え、一時的な対応策のみならず、ビジネスモデルや事業戦略の再構築を検討する必要があるでしょう。

代替材料の開発

すでに世界各国では代替材料の開発が進められており、日本の企業内においても適用の余地があります。

他国からの調達

中国以外にも、オーストラリアやベトナムなど、他国からレアメタルやレアアースを調達することも一案です。

リサイクル

PCやスマートフォン、自動車関連部品などの廃棄物からレアメタルなどを取り出してリサイクル利用することも一つの有効な対応策といわれています。

中国輸出規制による日本企業の対策事例

中国の輸出規制によって大きな影響を受けた日本企業は、すでに対策を実施しています。例えば次の2つの事例があります。

国内自動車メーカー 一部の国内生産を停止

ある国内の自動車メーカーは、小型車の部品の調達が滞っており、一時、生産を停止しました。それは中国のレアアースの輸出規制の影響が大きく、輸入手続きに時間がかかっており、レアアースを用いた部品の調達が滞っていることが理由です。

国内工業メーカー 中国事業見直し

ある国内の工業メーカーは、建設機械用の部品の調達に関して中国に依存していたため、リスク回避のために調達を複線化しました。また別のメーカーは米国やヨーロッパからの調達ルートの確保に乗り出しています。

まとめ

中国の近年続くレアアースなどの輸出規制は、価格高騰をはじめ、需要ひっ迫、技術開発や製造の停滞などさまざまな世界的な影響をもたらしています。

日本にもその影響は及んでおり、すでに対応策が講じられています。日本企業のうち、中国から原材料調達の必要性がある場合には、リスクへの対応が急がれます。

適切な対応を進めていきましょう。

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