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物流コラム

EC物流の市場規模拡大が引き起こす「コスト高騰」と「輸送力不足」。
その原因と対策を解説

近年、EC物流の市場規模が拡大しており、物流業界ではコスト高騰や輸送力不足の課題に直面しています。どのような影響が及んでいるのか、また、その解決策にはどのようなことがあるのでしょうか。
今回は、EC物流の市場規模の現状を概観し、その拡大がもたらす「コスト高騰」と「輸送力不足」という2つの課題の原因と対策を解説します。

EC物流の市場規模は?拡大の一途をたどる

近年、EC物流の市場規模が拡大し続けています。

BtoC市場規模

経済産業省の統計データ(※1)によれば、2024年のBtoC-EC市場規模は26兆1,225億円となり、前年比1兆2,790億円増しの結果でした。2014年からの統計開始から増加の一途をたどっています。

宅配便取扱個数

国土交通省の統計データ(※2)によれば、2023年度の宅配便取扱個数は50億733万個であり、前年度比145万個の増加となりました。宅配便についても増加の一途をたどっています。

こうしたEC物流の市場規模の増加の背景としては、主にコロナ禍の影響により外出自粛が呼びかけられたことを背景に、ECサイトで購入する流れが生まれたことが挙げられます。

コロナ禍以前はまだECに着手していなかった事業者も続々と展開を始め、EC市場が活性化しました。その結果、EC事業者がニーズに合わせて配送サービスの拡充を進めたことで、EC物流がより一層活発化し、無料配送や翌日配送などの配送サービスを充実させるなどして競争も激化しています。

このような流れはコロナ禍後も続いており、今後もEC物流が活性化していくことが考えられます。

※1 出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査報告書」
※2 出典:国土交通省「令和5年度 宅配便・メール便取扱実績について」

EC物流の市場規模拡大がもたらす「コスト高騰」と「輸送力不足」

EC物流の市場規模拡大は、物流業界に数多くの問題をもたらしています。その問題の中でも「コスト高騰」と「輸送力不足」の2点は大きいものといえます。それぞれの原因を見ていきましょう。

コスト高騰の現状と原因

近年、物流コストが高騰しています。経済産業省等の資料(※3)によれば、2022年の道路貨物輸送のサービス価格は過去最高となりました。特に、宅配便の価格の急騰が顕著となっています。

また、荷主企業から見た売上高物流コスト比率についても上昇傾向にあり、JILSの物流コスト調査の結果によれば、2021年度は5.7%と過去20年の同調査の中でも最大となりました。

※3 出典:経済産業省・国土交通省・農林水産省「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」

【原因】
・個別配送・小口配送の増加
EC市場においては、個別配送や小口・多頻度の配送が多いことから、物流量が増え、業界全体においてコストを高騰させています。またトラックの積載率や輸送効率が低下傾向にあることも問題を大きくしています。

・再配達率が高い
個別配送となれば、より再配達率が上がる傾向があるため、人件費などのコストがさらにかかってしまいます。

・非効率な配送ルート
個別配送は、配送ルートも要検討事項となります。工夫をしなければ、非効率な配送ルートを選択することになり、無駄な物流コストがかかってしまう恐れがあります。

・「物流2024年問題」による人件費高騰
「物流2024年問題」とは、働き方改革関連法におけるトラックドライバーの労働時間の上限規制が適用された2024年4月以降に生じている諸問題を指します。ドライバーの稼働時間が減ることで、従来のようにものが運べなくなる恐れが生じています。それと同時にドライバー1件当たりの運賃が割増し傾向にあります。

・人手不足による人件費上昇
物流業界では人手不足が慢性化しており、長年の課題となっていますが、EC物流の活性化により、人手不足はより一層深刻になっています。その結果、人材確保のためにより高い賃金や処遇改善、環境改善などが求められていることから、人件費は上昇傾向にあります。

輸送力不足の現状と原因

続いては、輸送力不足についてです。

国土交通省等の資料(※4)におけるデータによると、近年、「トラックドライバーが不足していると感じている企業の割合は50%を超えており、増加傾向にあることがわかります。

EC物流量の増加に伴い、より一層、ドライバー不足を深刻化させています。

【原因】
・「物流2024年問題」
輸送力不足の大きな原因として、「物流2024年問題」が挙げられます。ドライバーの稼働時間が減ることにより、輸送力不足が問題視されています。

・高齢化・若手ドライバー不足
総務省の「労働力調査」(※4)によれば、トラックドライバーは40~54歳が45.2%である一方、若年層の15~29歳は10.1%となっています。ドライバーの「労働時間が長い上に低賃金」といった労働条件の低さなどを理由に、若年層から敬遠される傾向にあります。

・小口・多頻度配送の増加によるトラックの積載率・輸送効率低下
EC物流では、小口・多頻度配送が増加していますが、その分、トラックの積載率や輸送効率の低下が問題となっています。

※4 出典:経済産業省・国土交通省・農林水産省「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」

EC物流の市場規模拡大による「コスト高騰」「輸送力不足」への対策

EC物流の市場規模拡大による「コスト高騰」「輸送力不足」への対策をEC事業者の視点でご紹介します。

在庫の適正管理

EC物流量の増加に対して、負荷が高まっている場合は、効率化のためにまずは在庫の適正管理が必要です。在庫過多は保管スペースの無駄につながりコストが増します。一方で在庫不足は顧客ニーズに応えられず、機会損失、顧客離れのリスクがあります。

梱包の改善

梱包の軽量化やサイズ最適化、資材の見直しによりコスト削減が可能になります。積載効率を考えることで、輸送効率向上にもつながります。

配送ルートの効率化

配送ルートは効率化することで、無駄を減らし、コスト削減につながります。またリードタイム削減により顧客満足度向上に寄与します。

共同配送・中継輸送・モーダルシフトなどの輸配送形態の見直し

輸配送形態を見直すことも有効です。主に次の3つの手法が有効です。

・共同配送:複数の荷主が荷物を同じ車両を用いて、同じ配送先へ運ぶ手法です。車両とドライバーの人数を削減し、コスト削減を実現します。

・中継輸送:複数のドライバーがリレー式に荷物を運送する手法です。一人一人のドライバーの労働時間や負担を削減することで、労働環境の改善効果が期待できます。

・モーダルシフト:トラック等の自動車で行われている貨物輸送を鉄道や船舶の利用へと転換する方法です。トラックは鉄道や船舶を利用する拠点までの運送で済むため、労働時間と業務負荷を低減し、人件費の削減を実現します。

まとめ

EC物流の市場は拡大を続けていますが 、その裏で「コスト高騰」と「輸送力不足」という深刻な問題に直面しています。

特に国際部門のEC物流においては、輸送手段のシフトが重要な鍵となります。従来の航空輸送はコストが高額になりがちなため、「大量貨物の円滑な通関」や「定時制の確保」といった課題をクリアし、コストを抑えた安定的な輸送体制の構築が大切です。

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