EC物流の課題とは?持続可能な事業を支える「海上輸送」という新戦略

EC物流は物流量の増加に伴い、人手不足やコスト高騰などさまざまな課題に直面しており、早急に課題解決を進める必要があります。さまざまな課題解決策が考えられる中で、「海上輸送」が新たな解決策の一つとなります。
今回は、EC物流の課題とその解決策、解決策の一つとして「海上輸送」が有効な理由と共に、成功させるポイントをご紹介します。
EC物流の課題とは?
EC物流は近年、次のような課題に直面しています。
物流量の増加に伴う人手不足
コロナ禍の巣ごもり需要から物流量が増えたのをきっかけに、多くの企業がEC市場に参入しており、アフターコロナにおいても物流量の増加は続いています。そうした中、従来のリソースではEC物流業務全般に対応しきれなくなってきています。
物流コスト高騰への対応
近年、物流コストは燃料費の高騰やトラックドライバーの時間外労働時間の上限規制などを背景とした運賃上昇など、全体として高騰傾向があります。そのため、EC物流においては、少しでもコスト効率を高めるために工夫や努力が求められます。
リードタイム削減
EC市場が特に盛り上がっているのがBtoC市場です。ECを利用する一般消費者は、翌日配送などできるだけ早く手に入れたいニーズが高く、常にリードタイムの短縮が求められています。数多くのEC事業者が翌日配送はもちろん、当日配送などのサービスを導入していることから、競争に勝つためにも市場全体としてリードタイム削減が求められています。
在庫管理の徹底
欠品は顧客への販売機会損失につながり、在庫過多はコストとスペースの無駄につながってしまいます。そのため、EC事業者は常に在庫管理の徹底が求められています。
急なキャンセルや返品への対応
ECにおいては、顧客からの急なキャンセルや返品が発生することがあるため、臨機応変な対応が求められます。しかしリソースが足りない中では対応するのがむずかしいことも多いでしょう。
EC物流の課題解決策
EC物流の一般的な課題解決策をご紹介します。
現場の業務効率化・業務プロセス見直し
まずは現場の現状課題を正確に把握するために、物流の業務プロセスを可視化することが必要です。その上で、無駄や非効率なところがないか確認して、問題が見つかれば対策を講じましょう。
物流システムの導入
EC物流業務は複雑で多様な種類があることから、システムで一元管理することが有効です。物流システムの種類として、受注システムやWMS(倉庫管理システム)、配送管理システムがあります。それらを連携させることで、より効率的な運用が可能になります。
アウトソーシングの活用
人手不足や業務効率化のためには、アウトソーシングの活用が有効です。EC物流や物流に特化したアウトソーシング事業者に委託することにより、単なるリソースの補填だけでなく、業務効率化を実現できます。
配送形態の見直し
従来のトラック配送などの形態を見直すことで、輸送効率向上やコスト削減が実現することがあります。
例えば「共同配送」はその有効な対策の一つです。共同配送とは、複数の荷主が荷物を同じ車両を用いて、同じ配送先へ運ぶ手法です。車両数とドライバーの人数を削減できるため、コスト削減につながります。積載効率を高めることでリードタイム短縮も実現します。
また「モーダルシフト」も有効です。これはトラック等の自動車で行われている貨物輸送を鉄道や船舶の利用へと転換する手法です。トラックが運送する区間は、鉄道や船舶を利用する拠点までとなるため、ドライバーの労働時間と業務負荷を低減し、人件費の削減を実現します。その結果、運賃の効率化につながり、コスト削減となることもあります。
EC物流の課題解決策の新たな一手「海上輸送」が有効な理由
EC物流の課題解決策の新たな一手として「海上輸送」の有効性を提案します。
海上輸送とは?
海上輸送とは、コンテナ船やフェリーなどにより貨物を輸送する方法です。トラックやトレーラーに荷積みし、港まで陸送しますが、港ではトラックごと、またはトレーラーごと上船し、海上輸送を行います。目的地近郊の港に到着しだい、トラックやトレーラーが下船し、陸送で目的地まで向かいます。
海上輸送がEC物流課題の解決策になる理由
海上輸送は、先述のEC物流課題の解決策となり得ます。その理由として、次の点が挙げられます。
・コスト削減
海上輸送では、従来のトラック輸送と比べて、トラックによる陸送の区間が短くて済むため、燃料費やドライバーの人件費を削減できます。またトラック輸送と比較し、大量輸送が可能であるため、トータルでのコストを削減できる可能性があります。
・輸送効率・輸送品質向上
陸送と比べて大量の貨物を一度に輸送できる上に、低振動かつ事故や渋滞のリスクが少ないことから、輸送効率・輸送品質向上に寄与します。
・安定したリードタイム
海上輸送は一般的にリードタイムが延びるイメージがありますが、例えば関光ロジNEXTのフェリー輸送では、積卸エリアにもよりますが、「九州⇔関西」は翌日AM着、「九州⇔関東」は翌々日AM着が可能です。そのため、陸送輸送と比較しても同様のリードタイムを実現できます。
・越境ECにも対応可能
海上輸送は越境ECにも対応できます。トラック輸送では叶わなかった外国への輸送が実現する可能性があります。特にコストのかかる航空輸送からの切り替えや、大量貨物のスムーズな通関を目指す事業者にとって最適な選択肢となります。
EC物流の「海上輸送」を成功させるポイント
EC物流の「海上輸送」を成功させるポイントをご紹介します。
コスト削減に協力してくれる物流業者を選ぶ
海上輸送によってコストを削減するには、工夫が必要です。そのため、コスト削減に協力してくれる良心的かつノウハウを持った物流業者を選ぶことで、課題解決につながるでしょう。
最適ルート利用で運行を効率化する
海上輸送は最適なルートを利用することで運行を効率化できます。海上における最適ルートは専門知識や経験が必要であるため、実績のある専門企業に相談するのがおすすめです。
積載効率を上げる
積載効率を上げる工夫も重要です。例えば、20トントレーラーを活用すれば一度に大量の貨物を運ぶことができ、輸送コストの削減が期待できます。
共同輸送をうまく利用する
異業種、同業種の企業同士がそれぞれの荷物を同じトラックやトレーラーなどに積載して運ぶ共同輸送とフェリー輸送を組み合わせることにより、積載率向上やリードタイムの短縮化を図ることができる可能性があります。
まとめ
EC物流は多くの課題を抱えており 、その解決策として本文でご紹介した「海上輸送」は、競合との差別化を図る戦略的な一手となり得ます。
この「輸送手段のシフト」という視点は、特に国際部門のEC物流において重要です。多くの事業者が利用する航空輸送は「コストが高騰しがち」であるため 、「大量貨物の円滑な通関」や「定時制の確保」を実現しつつ、コストを抑えた輸送体制の構築が急務となっています。
海上輸送は、まさにそのコストのかかる航空輸送からの切り替え先として最適な選択肢です。関光ロジNEXTでは、フェリー輸送をはじめとする海上輸送の知見を活かし、貴社の国際EC物流における課題解決をサポートいたします。
