荷主企業が今すぐ真似したいCO2排出量削減の取り組み事例~モーダルシフトの有効性も解説

世界的に脱炭素が進められ、温室効果ガス削減の取り組みが強化されています。日本でも高い目標を掲げ、企業や組織が日々、CO2排出量の削減に努めています。
そうした中、今企業ができることは、自社の取り組みはもちろんのこと、サプライチェーンすべてにおいて脱炭素化を図る取り組みを進めていくことです。特に物流関連のサプライチェーンはCO2排出量削減のために重要な対象の一つとなっています。
今回は、CO2排出量削減の重要性と必要な理由と共に、CO2排出量削減の取り組み事例やモーダルシフトによるCO2排出量削減の有効性と事例、荷主企業がモーダルシフトによって物流関連のCO2排出量削減を進めるポイントを解説します。
CO2排出量削減の重要性と必要な理由
大気中に熱(赤外線)を吸収する性質を持つ温室効果ガスがもたらす地球温暖化は、近年の気候変動による猛暑など、問題が深刻化しており、世界的に平均気温の上昇を抑える努力の追求が求められています。
日本のCO2排出量の内訳
日本における2023年度の温室効果ガスの排出・吸収量は、約10億1,700万トン(CO2換算)となっています。2022年度比で4.2%減、2013年度比で27.1%減となりました。
近年の減少の背景として、電源の脱炭素化と製造業の生産活動減少によるエネルギー消費量の減少などがあるといわれています。
出典:国立環境研究所「2023年度の我が国の温室効果ガス排出量及び吸収量について|2025年度」
CO2排出量削減の重要性と必要な理由
CO2排出量減少の一途をたどっている一方で、特にCO2排出規模の大きい企業は継続して排出抑制に取り組んでいく必要があります。
地球温暖化の要因となっていることを受け、2015年に採択されたパリ協定では、産業革命以降の気温上昇を2度ないし1.5度に抑制することを長期目標に掲げました。その後、2021年開催のCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)では1.5度目標を追求することが決意されています。
日本は排出削減目標として、温室効果ガスを2035年度には2013年度から60%、2040年度には73%へと削減を目指すことを2025年2月に閣議決定しました。
直近の2030年目標では2013年度比46%削減を目指していることから、企業もそれに合わせて取り組んでいく必要があります。
CO2排出量削減の取り組み事例
日本企業の多くはCO2排出量削減の取り組みを精力的に進めています。その中から、注目の3つの事例をご紹介します。
自動車部品製造業
ある自動車部品製造業の企業は、CO2排出量削減とコスト削減の両立に成功しました。
【背景】
製造業であるがゆえに製造工程において多くのCO2を排出することから、取引先から環境配慮に関する要求が増す中、企業競争に生き残るために、CO2排出量削減と経費削減効果を両立する取り組みに着手しました。
【施策】
各種省エネ施策を実施しました。
・エアコン室外機に遮熱塗装を行い、空調の使用量を約10%削減
・本社に太陽光パネルを設置し、年間約27万kWh電力を供給する仕組みを構築
など
【成果】
エアコン室外機への遮熱塗装により11ヶ月で22.5tのCO2を削減し、電気代を約140万円削減できました。また取引先からの環境情報開示への対応が可能になり、良好な関係継続につながっています。
関光ロジNEXTと商社
関光ロジNEXTは、グループ企業の国内フェリーを利用し、商社との連携による共同輸送で、CO2排出量削減を実現しました。
【背景】
アパレルや雑貨などの商材において、トラック輸送に依存していた物流体制を見直し、海運モーダルシフトを推進することを目的としています。
具体的にはCO2排出量の削減に加えて、トラックドライバーの労働時間の短縮、輸送効率の向上を同時に実現し、持続可能な物流体制の構築を目指すものです。
【施策】
アパレルや雑貨の商社3社とアライアンスを組み、国際フェリーと国内フェリーを組み合わせて複合一貫輸送を行いました。
中国から輸入される関東向けの貨物を下関港に集約し、下関港から横須賀港経由で、首都圏の中継点までの幹線輸送による共同輸送を実施しました。
幹線輸送の大部分は、関光ロジNEXTグループの東京九州フェリーが担う形です。
【成果】
3つの商社が集約した貨物は、約7ヶ月で10トントラック約68台分に相当するものです。これを海上輸送へ切り替えたことにより、試算上、約102トンのCO2排出量削減(※2)を実現しました。
※2 経済産業省・国土交通省による「物流分野のCO2排出量に関する算定方法ガイドライン」の計算方法に基づく従来トンキロ法に基づく単位あたりのCO2排出量:陸送部分207(g-CO2/t-km)、海上部分42(g-CO2/t-km)として計算。
CO2排出量削減施策としてのモーダルシフトの有効性と事例
物流関連のCO2排出量削減の取り組みとして注目されているのがモーダルシフトです。その有効性と取り組み事例について解説します。
モーダルシフトの有効性
国土交通省によれば、モーダルシフトでは、1トンの貨物を1km運ぶ(=1トンキロ)ときに排出されるCO2量は、トラックが207gであるのに対し、航空は109g(約1/2)、船舶は42g(約1/5)、鉄道は19g(約1/11)となっています。
これにより、モーダルシフトは大幅なCO2排出抑制につながる見込みがあります。
モーダルシフトの事例
・ビールメーカー4社のRORO船モーダルシフト
ビールメーカー4社は、従来は関東-関西間の陸上輸送をそれぞれに行っていましたが、各社とも大型シャーシを使って、RORO船による海上モーダルシフトを実施しました。
結果、CO2排出削減量は1,648.7トン(59.3%)に上り、ドライバー運転時間は3,793時間(77.5%)削減できました。
その他、鉄道輸送モーダルシフトの事例として、紙製品と飲料製品の異業種ラウンド輸送による鉄道輸送やブロックトレイン利用の鉄道輸送などの事例もあり、CO2排出量削減を実現しています。
モーダルシフトの有効性が実証された事例といえるでしょう。
荷主企業がモーダルシフトによってCO2削減を進めるポイント
荷主企業がモーダルシフトによってCO2削減を進めるポイントを解説します。
海上輸送の固定観念を解く
モーダルシフトに切り替える際に、海上輸送に関して「コストが増すのではないか?」「リードタイムが延びるのではないか?」「輸送品質が落ちるのではないか?」との懸念がありますが、どれも固定観念であることが多いです。
大型フェリー輸送であれば、大量輸送が可能であり、揺れが少なくリードタイムや輸送品質の問題を解決できます。また共同輸送の工夫により、コスト削減につながることがあります。
優良な船舶輸送事業者とのパートナーシップ
モーダルシフトを実現するには、経験豊富で実績のある優良な船舶輸送事業者とのパートナーシップを結ぶことが重要です。
現状の輸送データの把握
まずは現状の陸上輸送の距離やドライバー稼働数や人的コスト、リードタイム、CO2排出量などの全体をデータとして把握しましょう。その上でモーダルシフトにより、どのくらいトラック輸送の削減とCO2排出量の削減が可能になるのかを試算することが有効です。
最適な輸送ルート抽出
モーダルシフトにおいては、基本的にトラックと船舶、鉄道といった複数の手段を用いるため、輸送ルートは最適化することが大切です。パートナーとコミュニケーションを取りながら進めていきましょう。
まとめ
CO2排出量の削減は、喫緊の課題として重く受け止め、積極的に削減施策に取り組んでいくことが重要です。
特に物流分野においては、モーダルシフトが有効です。
関光ロジNEXTは、グループ企業の国内フェリーを利用し、皆様のモーダルシフトをサポートいたします。CO2削減施策を進めることをご検討中の方は、お気軽にご相談ください。
