改正物流効率化法とは?
2026年4月施行の特定事業者の義務(CLO選任・計画提出)を解説

物流業界は近年、大きな変化を遂げています。特に早急に物流効率化が求められる中、物流効率化法が改正され、物流事業者だけでなく、荷主企業も経営戦略として物流を管理する必要性が生じています。
今回は、改正物流効率化法の概要から施行スケジュール、改正物流効率化法によって生じる特定事業者の基準と義務、必要になる具体的なアクションを解説します。
改正物流効率化法とは?
まずは改正物流効率化法の概要を押さえておきましょう。
改正物流効率化法とは?
改正物流効率化法とは、2024年5月15日に公布された「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」の略称です。
流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律と貨物自動車運送事業法は、物流に関連するこれら2つの重要な法律が改正され、すべての荷主企業や物流事業者が物流効率化のために取り組むべき措置について、努力義務が課されることになりました。
また特定の事業者については、中長期計画の作成や定期報告などが義務付けられました。
改正の背景
物流効率化法改正の背景として、「物流2024年問題」があります。これは、働き方改革の関連法において2024年4月からトラックドライバーの時間外労働時間の上限規制が適用されたことで生じた諸問題です。輸送能力が不足し、物流の停滞などが挙げられます。
このような状況下で、荷主企業と物流事業者はともに物流効率化が急がれていましたが、より一層協力し、国内の物流を支えるための環境整備を進める必要が出てきました。商習慣の見直しや、荷主企業および消費者の行動変容が強く求められており、抜本的かつ総合的な対策が必要になっています。
これにより、荷主企業においては、経営層における物流統括管理者の選任などを通じ、経営戦略として、また組織的に取り組む方向へと舵を切る必要があります。
2026年4月の本格施行に向けたスケジュール
改正物流効率化法は、すでに一部は施行されており、2026年4月には本格的に施行されます。
2025年4月 第一段階として、基本方針や荷主・物流事業者の努力義務、判断基準、判断基準に関する調査公表等が施行されました。
2026年4月(予定) 第二段階の施行が予定されています。特定事業者の指定や中長期計画の提出、定期報告、物流統括管理者(CLO)の選任などの義務化などが施行されます。
【関連リンク】
貨物自動車運送事業法とは?荷主が知るべき改正ポイントと遵守事項
トラック新法とは?物流業界への影響と背景をわかりやすく解説
改正物流効率化法の全体像
もう少し詳しく改正物流効率化法について知っておきましょう。先にもお伝えしたように、改正物流効率化法は、2つの法律の改正となります。それぞれの法律の概要をご紹介します。
流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律とは?
この法律は、事業者や法人等が連携し、流通業務の総合化や効率化を促進する事業を支援する法律です。総合化とは、物流の輸送や保管、荷捌き、流通加工等の一連の流れを一体的に行うことを意味します。支援の対象となる事業として、輸送網の集約や共同配送、モーダルシフトなどが挙げられます。
国がこの法律によって物流を支援する背景として、労働力不足や、荷主・消費者ニーズの高度化・多様化による多頻度小口輸送の進展などに対応する必要性が増していることが挙げられます。そして流通業務の省力化や物資の流通に伴う環境負荷の低減などを進めることが意図されています。
なお、法改正により「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」は名称が「物資の流通の効率化に関する法律」に変更されています。
貨物自動車運送事業法とは?
この法律は、主にトラック輸送事業の運営が適正かつ合理的に行われるように定められた法律です。輸送の安全性の確保、利用者の利益保護、健全な発達などを支援することを目的とします。
荷主企業とトラック事業者の取引関係にも関連する重要な法律です。
改正のポイント
上記2つの法律が改正されることで、物流の持続的成長を図るために、荷主企業や物流事業者に対する規制的措置が定められました。
物流効率化のために取り組むべき措置の努力義務が課せられ、2026年4月以降は、一定規模以上の特定事業者に対し、中長期計画の策定や定期報告等が義務付けられます。
改正物流効率化法によって生じる特定事業者の基準と義務
2026年4月に施行予定の、改正物流効率化法によって生じる、特定事業者の基準と義務を確認しておきましょう。
適用対象は一定の規模以上の荷主・物流事業者の「特定事業者」です。
特定事業者とは?
特定事業者は、次の条件を満たす事業者です。
| 特定事業者の種類 | 指定基準値 |
|---|---|
| 特定第一種荷主 特定第二種荷主 特定連鎖化事業者 |
取扱貨物の重量9万トン以上 |
| 特定貨物自動車運送事業者等 | 保有車両台数150台以上 |
| 特定倉庫業者 | 貨物の保管量 70万トン以上 |
特定事業者の義務
特定事業者は、次の内容に対応する義務があります。
・中長期計画の作成
定期的に、指定の判断基準を踏まえた措置の実施に関する中長期的な計画を作成することが義務付けられます。毎年度提出することを基本としつつ、計画内容に変更がない限りは5年に一度提出します。
計画には「運転者一人当たりの1回の運送ごとの貨物の重量を増加させること」「運転者の待ち時間を短縮すること」「運転者の荷役時間を短縮すること」に関して、実施する措置や具体的な内容と目標、実施時期などを記載します。
規定通りに提出しなかった場合は、50万円以下の罰金が科せられます。
・定期報告
指定を受けた翌年度以降の毎年度に、努力義務の実施状況に関して、次の事項を報告する必要があります。
-事業者の判断基準の遵守状況
-関連事業者との連携状況等の判断基準と関連した取組に関する状況
-荷待ち時間等の状況(荷主・連鎖化事業者・倉庫業者)
・物流統括管理者(CLO)の選任
特定事業者のうち、特定荷主と特定連鎖化事業者は、物流統括管理者の選任が義務付けられます。
要件として「事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者」とあり、経営幹部から選任される必要があります。
業務として、中長期計画の作成やトラックドライバーの負荷低減、輸送される物資のトラックへの過度の集中を是正するための事業運営方針の作成、事業管理体制の整備などの統括管理を行います。
特定事業者に対する勧告・命令
特定事業者が行う努力義務の取り組みについて、国の判断基準よりも著しく不十分である場合は、国から勧告されることがあります。勧告に従わなかった場合は、その旨が公表され、措置の命令が行われることがあります。命令が発令された後に対応しなければ100万円以下の罰金が科せられます。
物流効率化に向けた具体的なアクション
特定事業者に該当しなくとも、すべての荷主企業には努力義務があります。その努力義務を含めた、今後取り組むべき物流効率化のための具体的なアクションをご紹介します。
すべての荷主・物流事業者における努力義務
・積載効率の向上
トラックに積載する貨物量を増やす取り組みです。
・荷待ち時間の短縮
トラックドライバーが到着した時間から、荷役などを開始するまでの待ち時間を短縮する取り組みです。
・荷役等時間の短縮
トラックドライバーによる荷役の開始から終了までの時間を短縮する取り組みです。
・実効性の確保
積載効率の向上や荷待ち時間・荷役時間の短縮などについて、責任者の選任や社内教育による体制整備、実施状況や効果の把握、物流データの標準化などにより、実効性を確保します。
物流効率化のための具体的なアクション
改正物流効率化法に対応するため、また物流を効率化するためには次のようなアクションが求められます。
・現状把握
物流効率化を目指すために、何よりも先に現状把握は欠かせません。例えば、荷待ち時間や荷役時間などを、デジタル技術を活用して計測し、可視化しましょう。
・物流システムの導入
各種物流システムを導入する方法です。
例えば荷待ち時間の短縮のためにトラック予約システムを導入し、混雑日時を回避した日時設定と合わせて実施することで効果が期待できます。また配車管理システム等の活用により、配車や配送案件管理等の煩雑な業務の工数を削減でき、効率化につながります。
・荷役作業の効率化
荷役作業を効率化するために、国土交通省は、輸送用器具の導入のほか、パレットの標準化、タグ導入などによる検品の効率化、事前出荷情報の活用などを推奨しています。
・リードタイムの適正化
貨物となる製品の特性に応じた適正なリードタイムを設定し直すことも有効です。また緊急発注を低減するために、計画的に発注するよう調整することも一案です。
・積載効率向上のための共同配送・モーダルシフト
積載効率を向上させるために、国土交通省は、複数荷主の貨物を同じトラックに積み合わせる共同配送を推奨しています。
またトラック輸送から船舶や鉄道輸送に切り替えるモーダルシフトは、大型フェリーなどを利用すれば、一度に多くの貨物を輸送できることから、大幅な積載効率向上が期待できます。
繁閑差を平準化したり、納品日を集約したり、物流販売調達などの関連部門を連携させることも有効です。
